大方の予想を裏切り、先日の日本人大会で優勝したABUSAN1の破竹の勢いは留まるところを知らなかったようである。

大会後の打ち上げでは、真っ白な灰のように燃え尽きてしまい、総評を語ることができなかったので、ここに大会を通じて感じたこと・伝えておきたいことを感情の赴くままに書き散らしたい。(以下、ABUSANのメンバーは敬称略。あしからず)

1回戦 vs Towers(MS)     1-1 (タイブレーク2×1) ○
ファストピッチ大会はどのチームと当たろうが、強敵と戦うことを覚悟してはいたが、初戦はまさかのTowers.相手投手・岡林さんの安定感は素晴らしく、息つく間もないほどの打線を要している強豪である。
我々ABUSAN1の投手・翔の今回の出来はこれまで以上に完成度が高く、緩急織り交ぜながら面白いようにストライクをとる。軍で肉体的にも精神的にも鍛えられたのであろうか、マウンドに立つ彼の背中は非常に逞しいものであった。
だが、それをも捉えるのがTowersたる由縁であり、1回表に1点を先制される。更に追加点をとられるかと思いきや、左翼手・原川のビッグプレーが飛び出し、1点で凌ぐ。1回裏の攻撃、相手の流れを止めた1番・原川が絶妙なセーフティバントで出塁すると、相手のパスボールから2塁にまで進み、2番・古関がここで決めなきゃいつ決めるのだと言わんばかりの送りバントで13塁の好機を演出する。続く3番・健がライトに放った打球を相手右翼手は取ることができず、非常にABUSAN1らしい点の取り方で同点に追いつく。
その後は、一進一退の攻防が続き、双方譲らず初戦からタイブレークで勝敗を決することとなった。1死満塁からのスタートで、相手に四球の押し出しで1点を与えてしまうが、この1点に抑え、我々の攻撃。1塁・古関、2塁・原川、3塁に山口()を置き、値千金の適時打を放った健の打席。先ほどと同じく、ライトに放った打球は犠牲フライには浅く、2死となる。続くバッターはこの日4番に座る月森。彼が放ったライナー性の打球を相手右翼手は一度は捕球するも、グローブからこぼれ落ち、一気に2人の走者が生還し、劇的な勝利で初戦を飾ることができた。

2回戦 vs River Valley Night Rabbits 1-0 ○
黒船来襲。Night Rabbitsが率いるは、前回のファストピッチ大会に突如として現れたカナダ人投手。Rabbitsという可愛らしいチーム名とは裏腹に、南国の島に現れた白い巨人はもはや熊と言っていいのではないだろうか。その豪腕から放たれる速球は、坂本竜馬でさえ開国したことを後悔するほど凄まじく、そう簡単に打てそうなものではない。しかし、我々ABUSAN1ができることを愚直なまでに積み重ねようと試合前に改めて意志の統一を図った。
投手の翔は初戦の勢いそのままに、相手打線を封じ込める。我々も何とか相手の豪腕に立ち向かうが、打席に立つとその速く重い球は余計に威力を増しているようにも見え、三者凡退に終わってしまう。続く回も翔が相手打線をきっちり抑え込み、見方の援護を待つ。2回裏の先頭打者月森がきっちりここで四球を選ぶと、相手投手の歯車が少し狂ったのか、ワイルドピッチを立て続けに出してしまい、無死3塁まで好機が広がる。ここで迎えるは初戦で同点打を放った健。暴投を恐れてか、相手が置きにきた球を迷うことなく弾き返し、センターへの犠牲フライで1点をもぎ取ることに成功する。その後は息を吹き返した相手投手から追加点を奪うことはできなかったが、虎の子の1点を守りきり、Rabbitsに何とか勝つことができた。

準決勝 vs Plabom(Jerry) 3-1 ○
前の試合で逆転勝ちをおさめ、勢いづくPlabom(Jerry)。それだけではなく、このところメンバーの数も増えてきており、チーム全体が勢いづいている強敵である。この試合がはじめての先攻となるが、ここでもABUSAN1の面々は浮き足立つことなく、これまで通りの戦いぶりをみせる。1点を先制されたものの、続く3回表の攻撃。2番・古関から始まるが何を緊張していたのか、相手投手の球にタイミングの取り方を忘れ、情けないほどの振り遅れで1塁ファールフライに倒れる。しかしこれが功を奏したのか、まるで頼りにならない主将の穴を埋めようとここから怒涛の攻撃が続く。とにかく球を転がすことをチームの決め事とし、それを徹底することで相手のエラーを誘う。球をしっかり見極めことで、四球を選ぶ。それに加え、頼りになるクリーンナップからは安打が続く。チーム意外性No.1のクアンからも柳の枝が揺れるように振ったバットから安打が飛び出し、更には3塁ランナー藤瀬はそこにいる全員が狐につままれたような、一瞬時間がとまったようなプレーを相手から引き出した。そんな盛り合わせの攻撃により、3点を奪うことができ、一気に逆転する。
しかし、相手も準決勝まで勝ちあがってきた強敵、そうやすやすと勝たせてはくれない。確実に翔の球を捉え、223塁まで詰め寄られたところで、相手打者は4番。個人的には約2年前の悪夢が頭をよぎる。その悪夢に吸い寄せられたのか、相手が放った打球はショートに速い球足で転がる。それを遊撃手・古関がきっちりファーストへ送球し、ゲームセット。この試合唯一の貢献となったが、ここ2年での最高成績・準決勝という壁を超えることができた。


決勝 vs RIGORS 0-5 ●
準々決勝でABUSANAを撃破し、勝ち上がってきた古豪RIGORS。前回の日本人大会と同じく、ABUSANAの敵討ちという構図となった決勝戦。これまでの各チームによる激戦により太陽が傾いた夕暮れ時での試合となった。
相手が十分強いということはわかっており、今更作戦を変更する必要もない。我々のやれるこことだけを思い切ってやろうと試合に臨んだ。先頭の原川が相手守備のミスを誘う全力疾走でまず出塁。続く古関の打席で香川から出されたサインはヒットエンドラン。相手投手の球威に何とかくらいつき、12塁間に転がすも走者原川の脚に当たってしまい、走者を進めることができず、11塁。続くクリーンナップに期待を寄せるが、相手を打ち崩せず凡退。
この日4試合目となるピッチャー翔であるが、球威・コントロールとも衰えることはなかった。しかし、相手はそんな彼の球をきっちり捉え、安打を積み重ねる。初回に3点を献上してしまう。そんな劣勢の中でも、チーム全員は堂々と戦っており、士気が乱れることも、下を向くようなことはなかった。結局、0-5での敗戦となり、近年では最高ではあるが、1歩及ばなかった準優勝という結果に終わった。


ここまで読んでいただければおわかりだと思うが、今回の準優勝という結果はまず翔という投手が4試合投げぬかなければ到底為しえない結果である。そんな彼の力を最大限に引き出したキャッチャー月森の支えも非常に重要なものであった。そんなバッテリーの踏ん張りに何とか応えようとチーム全員が意志を統一し、同じ目標に向かって汗にまみれたことが後押しをした。


本文には書いていないが、ABUSAN1の守備のミスというのはこの大会を通してほとんどなかったように思える。それだけ声が出ていたわけで、集中力も研ぎ澄まされていたことだろう。4試合すべてで、勝敗をわけたであろうポイントにメンバー全員が関わっていたことも、今回の結果を招いた要因のひとつである。昨年末のファストピッチ大会で、我々は2連敗という苦杯を舐めたが、あの大会で我々がどう戦うべきかというひとつの指針を示すことができ、それに磨きをかけた結果が今回の準優勝に繋がったのではないだろうか。また、個人的に嬉しかったことは前回の日本人大会優勝時に怪我で満足のいく出場ができず、どこか悔しい思いをしたであろう健・浦上の攻守による活躍が非常に目立った大会でもあった。今回は怪我で出場はできなかったが、裏方に徹し、我々を引っ張ってくれた香川の活躍も忘れてはいけない。

それとやはり、ABUSANAのメンバーや女性陣の声援は何と心強いことか。チームは分かれているとはいえ、毎週日曜日に暑い中、ともに練習をしている仲間がいるからこそ今回決勝まで進めたわけであり、全員が胸を張って誇れる結果なのではないかと思う。

以下は今回激闘を戦いぬいたメンバーである。
1.原川() 2.古関() 3.健() 4.月森() 5.浦上() 6.神谷() 7.藤瀬() 8.山口一() 9.クアン() 西村()      香川 ()

2 comment:

匿名 さんのコメント...

あぶ1メンバーも不動になってきましたね。強いチームの証です。月森さんもご活躍されており何よりです。しゅんぺーの文章も前よりだいぶ読み易くなってきたわ。次は必ず優勝を!
あー交じりたい。

#8
JUMP.S

匿名 さんのコメント...

じゅんぺいさん。

ありがとうございます。
この強いABUSAN1の主将をたまたまやらせてもらってる感満載ですが、チームとして熟れに熟れてる気がします。もちろん、これまでの下準備があってこそですが。


正直、語彙とか例えの表現がそろそろなくなりそうなので、今後はもっと平易な文章になるかと思います。


いつでも帰ってきてください。


#35

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