1回戦 vs Big-Wings-S 11-0 ○

2回戦 vs AMK-United 代表 3-1 ○

準々決勝 vs FSBC 7-2 ○

準決勝 vs River Valley Day Rabbits 7-2 ○

決勝 vs PlabonWest 1-2 ●

まず、今大会に臨んだABUSAN1のメンバーを紹介したい。

1.山口一() 2.古関() 3.神谷(M) 4.大塩() 5.丹羽() 6.熊崎() 7.朝井() 
8.是松() 9.香川() 10.土肥()

大会を通して、ほぼこの固定オーダーで臨んだ結果は準優勝というあと一歩というものであった。おそらく2度と同じメンバーが揃うことはないであろうこのチームはまず決起集会からこれまで以上に熱いものがあり、怪我から復帰したばかりで溜まりに溜まったフラストレーションを朝方の冷え冷えのプールでしか解放できていなかった香川を中心に戦略を練りに練った。ここまで決起集会から熱くなったのはやはり、丹羽・土肥・熊崎とほとんど同じチームでプレーしたことのないメンバーが決起集会の席についていたということも大いに関係している。さらに決起集会でまとまった戦略をマレーシア在住の大塩に議事録として送ることで、彼もまたこれまでになかった緊張や興奮を感じていたのではないかと、勝手に邪推してみる。

重要なことは各メンバーがそれぞれの役割やできることをきっちりとこなすということであり、去年の後半から主に香川と古関をはじめとするABUSAN1のメンバーで考え、実行してきたことをこのチームでも採用させてもらった。

初戦から『走れる(山口一)・選べる(神谷)・意外にいける(古関)』のうち、どんな形でも最低2人は出塁し、4-5番で一気に叩くという戦略が見事にはまった。4,5番に丹羽・大塩が控えている安心感・信頼感は財布の中に500円硬貨が2枚入っている時のそれに匹敵するものであった。相手からすればブライアント(近鉄)・デストラーデ(西武)に続けて投げなければいけない絶望感しかなかったであろう。実際この2人でフェンスの向こう側に放り込んだ球の数は片手では足りないほどで、その打球が空を切り裂くこと風の如し。しかし、今大会でキーとなるべきは6番・熊崎であった。というのも、4-5番で塁上の走者を帰せなかった場合の最後の砦でもあり、走者一掃後の起点となるべき打順でもあり、そんな複雑な仕事には彼が適任であった。それまで林の如く、静かな打席を迎えていた彼であるが、準々決勝では値千金、完全に相手の反撃の狼煙を霧散させる満塁ホームランを放った。


もちろん、6人だけで試合が決められるわけではない。7番から10(特に女性陣)がヒットを打つ、または出塁することでチームに勢いが出ること火の如し。今大会で最後になる朝井もきっちりボールを見極め、転がせば全力疾走し、目の覚めるクリーンヒットも放った。続く是松・土肥もいい当たりを放つが無情にも相手守備の正面を突いてしまったり、好捕に遮られてしまうことが多かった。しかし、彼らの活躍の場は今回はここ以外のところにあった。眼の怪我から復帰して初めての大会を迎えた土肥は練習ではやはり一抹の恐怖心からか、思うように動けてはいないように見えた。しかし、彼女はこの大会でその恐怖心に見事に打ち勝ち、これまで以上の守備を見せてくれた。ライト・是松も相手の攻撃の芽を悉く摘み取り、時には見事な中継プレーを披露してくれた。順序が逆になるが、決勝戦での最後のタッチアップで見せてくれた彼の勇気は(本塁憤死にはなったが)称賛に値するものである。

それとやはり、ピッチャー・香川なくしては戦い抜くことはできなかったであろう。膝の故障から予定より3週間早く復帰を前倒しし、本来とは違う意味で医者が匙を投げてしまうほどの驚異的な回復力を見せた彼は、新魔球『マウント・ロッコウ・ボール』を駆使し、相手打者を手玉にとった。彼の強みはボールが磁石に引き寄せられているかのようなコントロールもさることながら、強靭な精神力であると、筆者は思う。もちろんそれは確固たる根拠・洞察に基づいたものであり、その不動の心、山の如し。これが昨今のABUSAN1折れない強さの裏づけであることは疑いようもないであろう。

こういった戦いが準決勝まではうまく出来ていたのだが、決勝戦ではほんの少しのミスから相手に付け入る隙を与えてしまい、何とか追いつき・追い抜こうとするも僅かなところで勝利に届くことができなかった。

様々な感情が入り混じることとなった今大会の結果を受けて、今後どのようなチーム編成になるかはおそらく議論が必要となるかもしれない。しかしながら、今回はたまたまABUSAN1がチームとしてうまく噛み合ったというわけで、ABUSANA・金にもその可能性は十分あったはずだと個人的には思っている。どんなチーム編成になろうとも、中でやって感じたこと・外から見て思ったことを、各メンバーが各チームで共有していくことが今回の結果を無駄にしないため、ABUSAN全体が更なる高みへ行くために必要なのではないだろうか。


#35 古関俊也

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