1回戦 vs Plabon(Jerry) 4-0 ○

                初戦の相手はチームの雰囲気が非常によく、我々が勝つためには決してペースを与えてはならないPlabonⅡ。この日は早朝から激しい雨が降っており、試合開始時には小降りになっていたとはいえ、グラウンドの状況が悪い中で相手先攻で始まった。悪条件を活かし、相手1番バッターはセーフティバントで出塁する。続く2番バッターもバントエンドランでたたみかけようとするが、少し浮きすぎてしまった打球をバントシフトを敷いていたサード・古関がノーバンでキャッチし、飛び出していたランナーは1塁に戻れず、2重殺。ここで相手に決められていたら一気に流れを持っていかれていた危機を脱する。後続をピッチャー・翔がきっちり抑える。
               
我々の攻撃はこの日キャッチャー・飯草から始まった。相手投手の制球が定まらない中1番の仕事をきっちりこなし、四球を選ぶ。続くDH・神谷はお手本のような送りバントを決め、12塁と好機を広げる。続くクリーンナップ(香川・大塩・辻)2死満塁と先制の好機を演出するが、相手も幾度となく修羅場をくぐり抜けてきた強豪、すんでのところで零点に抑えられてしまう。これまでならここで相手にペースを与えてしまいそうなものだが、マウンドを完全に自分の領域にしてしまったピッチャー・翔には関係なかった。勢いに乗ろうとする相手の4-6番を完全に抑え、相手ペースの萌芽を刈り取る。続く我々の攻撃は7番からのいわゆる下位打線。この日のチームとしての戦略・目標のひとつに7-9(熊崎・山口一・古関)は自分ができることをして上位打線に何としてでもつなげる意識をもつということ。彼らの出した回答は『四球・バント・バントで無死満塁』という○沢○樹(あえて流行に乗るとする)も土下座せざるを得ない5億円の回収っぷりであった。1番に帰り、飯草。彼の振りぬいたバットが弾き返す打球は左中間をライナーで深々と貫き、走者一掃の3塁打。その後も神谷のスクイズで4点目。ほぼ試合が決まった瞬間であった。3回の相手攻撃も付け入る隙を与えることなく、3人で押さえ1内野安打完封で初戦を飾った。

準々決勝 vs Towers MS 2×-1 ○

                今大会がここで終わるかどうかの大一番の相手はよりによって強豪Towers(MS)。彼らは1回戦・2回戦を好投手擁するナイトラビッツ・NMR相手に完勝をおさめており、投手のO林氏は2試合連続完封、34番はこの日得点圏打率10割、何よりS原氏最後の大会ということで結束力はどこのチームよりも強く、苦戦は必至であった。
予想以上に苦しい展開で試合は幕を開けた。1番打者に四球を選ばれ、2番がきっちり送り、12塁。ここで迎えるは3番・M山氏。やや詰まりながらもセンターに弾き返され、1点を先制される。後続を断ち切るが、勢いにのる相手にやってはならない先制点を与えてしまった。1番・飯草は粘りながらも、凡退。この逆風を2番・熊崎が順風に変えるように出塁する。3番香川がライト前にぽとりと落ちる安打でさらにチャンスを広げる。4番大塩は詰まりながらも三塁線を破り、同点に追いつく。この回に逆転はできなかったが、その足がかりはできた。

ピッチャー・翔はそんな味方の奮闘に応えるように快投を続け、相手の強力打線を封じ込める。2回の我々の攻撃は7番から。初戦ではここから一気にたたみかけることができ、今回もその期待が膨らむ。しかし、そうは簡単にはいかず78番とも抑えられる。ここで9番古関に代え、パンチ力に定評のある健を代打に送る。2ストライクまで追い込まれるが、彼が弾き返した打球はセンターの頭上を越え、脚に不安を抱えながらも懸命に二塁まで攻め込む二塁打。采配が見事に的中した。逆転の機運が高まり、健に代走・是松を送る。続く飯草の集中力は極限まで研ぎ澄まされており、鬼気迫るものがあった。初戦と同じく、彼の放った鋭い打球はセンター方向に低い弾道で二塁ランナー是松に当たった・・・・・うん?・・・・・聞き逃した方のためにもう一度言ってみよう。鋭い打球は二塁ランナー是松に当たった。ゴ○ゴ13が誤射したとしか思えないその光景を理解するのに全員が数秒要したことであろう。まさかの形で逆転する機会が失われたが、それだけ彼の打球が鋭かったということである。

3回の相手の攻撃も翔が難なく抑え、味方の奮起を待つ。先頭バッター・熊崎は先ほどの冗談にしか思えない光景を切り裂くように三塁線を鋭く破り、二塁打を放つ。続く香川のライトへの犠牲フライで一死三塁とサヨナラの好機。相手バッテリーが選択したのは45番を歩かせる満塁策。ここで迎えるバッターがもし蚤の心臓しか持ち合わせていない筆者だとすると、おそらくタイブレークにもちこまれていたであろう。しかし、今回はニホンモモンガ#同様その生態の詳細が未だ確認されていないブーン。完全に相手バッテリーの虚をつき、振り抜いた高めの初球はライト前に『ファサッ』と、落ちるヒット。あまりにもあっけない幕切れであった。幸運な形で準決勝へ駒を進めた。
#参考:ニホンモモンガ/京都府ホームページ http://www.pref.kyoto.jp/kisyosyu/1218610259502.html

準決勝 vs Rigos 0-3 ●

                準決勝の相手は前回大会優勝のRigosABUSAN1が敗れた相手である。この試合はピッチャーをチャンに託した。我々の攻撃からはじまった準決勝であったが、予想していた通り、相手ピッチャーの球はやや荒れ球ながらも球威があり、攻略は簡単なものではなかった。試合前、香川から伝えられた戦略は相手捕手はパスボールが多いために、ピッチャーが投げた際の離塁が重要になってくるということであった。初回出塁した香川はそれを自ら有言実行し、相手のパスボールを見逃すことなく一気に三塁を攻め落とす。一塁コーチャーボックスに立った筆者もベンチに向かって、『みんな、これを実行しよう』と発破をかける。ここが先制のチャンスだとばかりに三塁ランナーの香川は離塁を執拗なまでにしかけようとする。しかし、それが仇となったのか、ボールがピッチャーサークル内におさまってしまってからも、相手の混乱を招こうと大胆な離塁を試みたために、相手に反則を訴えられ、アウトを宣告されてしまいチェンジ。今まで見たことのないような形で攻撃を終えてしまった。チェンジの際、Y少年の口から『なんで今のアウトになってしまうん?』と素朴な疑問が投げかけられたが、それに対し、『節子、あれはな調子に乗りすぎたんや』という答え以外見つからなかった。
                この日のチャンはいつもよりも本調子ではなく制球が定まらず、1番打者を四球で出塁させてしまう。続く快足2番左打者のセーフティバントを初戦とおなじようにバントシフト敷いていたサード・古関がまたもノーバンでキャッチし、二重殺はできなかったが相手の攻勢を阻止する。ここに『バント狩りの奇行師』が誕生した瞬間であった。3番打者を抑え、ここを抑えればと思った矢先、4番打者にレフト越えの2ランホームランを打たれてしまった。後続は抑えるが先制された2点が重くのしかかる。相手投手はバラつきがありながらも速球で押してくるタイプでなかなか反撃の糸口さえ見出せないまま2回の攻撃は3者凡退で終えてしまう。チャンも連続で死球を与えてしまうなど最後まで本調子に戻ることはなかったが、調子が悪いなりに彼のベストを尽くし、完璧に打たれたのは初回のホームランのみであった。結局、追いつくことは叶わず0-3で敗戦となってしまった。

3位決定戦 vs AMK-United選抜 3-0 ○

                優勝で山田前主将の慶事を彩るつもりで臨んだが準決勝で敗退し、何が何でも3位だけは確保しようと日没・長い待ち時間にもかかわらず、チームの士気は下がるどころか上がっているようにも見えた。それを証明するようにこの試合は先攻をとり、一気呵成に怒涛の攻撃を重ねる。相手守備のエラーなどもあり初回3点の先制に成功する。ピッチャーは翔。準決勝で休憩ができたのか、球威は勢いを増し、相手打者のバットは次から次へと空を切り、完全に封じ込める。ただ相手も3位決定戦まで上り詰めるほどのチーム。その後の我々の攻撃は防がれ、追加点をとることは容易ではなかった。しかし、翔もそんなことはお構いなしに三振の山を築き続ける。結局、初回に獲得した3点を守りきり、3-0で勝利をおさめることができた。


                目標より低い位置の表彰台ではあったが、最低限の結果は示せたのではないだろうか。そんな結果以上に今回は各メンバーがそれぞれできることをきっちり遂行でき(特に初戦・3位決定戦)、登録メンバーが全員出場も達成した。急遽捕手をつとめることになった飯草も攻守に素晴らしい活躍であった。また、毎回サポートしてくれる女性メンバーや今回は補佐役に回ってくれたメンバーに感謝したい。


大会が終わってからふと気づいたのだが、ちょうど1年前のFP大会でABUSAN-1が初戦で何もできずに敗退した相手が3位決定戦の相手AMK-United選抜であった。その惨敗から香川を中心にこれではいかんと、決起集会で戦略をしっかり練り、組織力+各個人の力量を最大限に活かすという現在の戦い方で臨むようになった。また、その1年前のピッチャーは翔であり、その時は彼自身、非常に悔しい思いをしていた。それが今回は相手打者を手玉にとるピッチングであった。おそらく相手は『話が違うやないか』と内心思っていたのではないだろうか。チームとして、個人としてこの1年間は決して間違っていなかったことを再確認できる(もちろん修正点はあるが)収穫のある大会になったと、主将として胸を張って報告したい。



#35 古関俊也

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