先日行われた2014年最初の大会で我々は前大会に続き、優勝を勝ち取ることができた。
チームワークと個々の力が結集し、最後まで自分たちの戦い方・できること・すべきことを見失わずに貫き通せたことが最大の勝因ではないだろうか(更新が遅くなってすみません)

1回戦 vs 紅人 22-2 ○

前大会で失ってしまったシード権のためにこの日は第1試合から臨むことになった。決起集会でも話し合われたようで、皆、調整は良好のようだ。1番・昇さんの朝日を切り裂くヒットを皮切りに初回で3点を先制する。少し物足りない気もしたが、ピッチャー・武藤さんの熱い気持ちに応えるように徐々に攻撃にもリズムが生まれ、新加入・北村さんのレフトへの2塁打も飛び出し、最終的には22-2で初戦を飾り、非常によい形でスタートを切れた。

2回戦 vs ジャングルベアーズ・プー 7-1 ○
まだ太陽も昇りきっていない時間帯にもかかわらず、いきなりの山場をむかえる。その相手はジャングルベアーズ・プー。前大会ではABUSAN-1が粘り強さの前に逆転負けを喫し、ABUSAN-Aも唯一失点を許してしまった。意外におっさん声の某山吹色のキャラクターを思い浮かべて蜂蜜を渡そうものなら壺で殴り返されてしまうほどの相手である。
相手の強打に備え、この試合は外野を昇さん・山口()さん・原川さん・熊ちゃんの俊足4人で固める。ファーストに神谷さん、サードに大塩さんを配置し、こちらの攻撃力も一切手を緩めない。前大会で一度追いつかれてしまったから、武藤さんのピッチングもいつもに増して慎重であった。それが奏功し、相手上位打線を完全に封じ込める。
1番昇さん・2番神谷さんは第1試合と同様にボールをよく見て出塁するが、前大会で10打数12安打というNASAが本格的に調査に乗り出しそうな天文学的な数字をたたき出した熊ちゃんがどうもよろしくない。3番の重責なのか、皆の期待が大きすぎるのか、いい当たりを飛ばしても相手の正面を突いたりとなかなか思うようにいかない。
しかし、そういう時は他のメンバーがきっちりとカバーできるのがABUSANたる由縁である。原川さんの持ち前の俊足を生かした3塁打や神谷さんの文字通り体を張った守備などが光り、結局7-1で難敵を退けることができた。



3回戦 vs NYK Brewers 15-1 ○

初戦で東芝レッドソックスにサヨナラ勝ちをおさめ、勢いに乗るNYK Brewers。ファストピッチにも参加するチームであり、打撃に定評がある。この試合からもっと気楽に打ってもらおうと悩める3番・熊ちゃんを6番に下げ、選んでも打っても粘り強い神谷さんを3番に置く。この配置転換が見事的中する。
1-3番はこれまで通りの仕事ぶりで塁を埋め、4,5番の丹羽さん・大塩さんの打棒が火を吹く。これで気が楽になったのか、これまでの沈黙を自ら切り裂くように、6番熊ちゃんは前回、前々回大会で見せたような弾丸ライナーでホームランを放つ。これでチームの雰囲気は最高潮に達する。下位打線もただでは終わらない。悦子さんのヒット、主将の内野安打を織り交ぜながら、ラストバッター恵琳ちゃんがきっちりタイムリーヒットを放つ。これだけの波状攻撃を繰り出して負けるはずがなかった。終わってみれば15-1という、一発の怖い相手のお株を奪う勝利であった。

準々決勝 vs Night Rabbits East 13-2 ○

続く準々決勝はダークホースではなく本命といってもいいナイトラビッツ。馬なのか兎なのかはっきりしない書き方ではあるが、その実力は誰もが認める強豪中の強豪である。
その実力どおり、これまで相手を封じ込めてきた武藤さんのボールをきっちりと捕らえ、1-4番まで連続ヒットを許してしまう。今回初めて2点を先制されてしまうが、長打にはならず全て単打で凌げたことが大きかった。
繰り返しになるが、1-3番はこれまで通りきっちりと出塁してくれる。これが機能すると続く丹羽さん・大塩さんの桁外れな攻撃力がさらに厚みを増す。そして取りこぼしがあれば、6番熊ちゃんで回収するという図式が完成する。すぐさま2点を取り返し、相手に傾きかけた流れをこちらに手繰り寄せる。
この試合、圧倒的な打力もさることながら、特筆すべきはチームに浸透した『走力』である。内野ゴロでも最後までしっかり走る・相手の隙をついて次の塁を狙う・タッチアップを狙うなど、脚を絡ませた攻撃が非常に目立った。女性メンバーの奈々美さんもタッチアップでホームに生還するという偉業を成し遂げた。おそらくご子息を寝かしつける時には御伽噺ではなく、今大会の母の活躍を延々と話していることであろう。それだけ彼女の活躍は素晴らしいものであった。
そして極めつけは、この試合2番に座った山口さんである。下位打線が粘り強さを見せ、満塁で山口さんに回す。弾き返した打球がレフトの頭上を大きく越える間に、自慢の脚で一気にダイアモンドを駆け抜け、ランニング満塁ホームラン。相手の反撃の狼煙を一気に吹き消すことができた瞬間であったかもしれない。

準決勝 vs チャンギブンブン丸 6-0 ○
もはや日本人会大会において群雄割拠の時代は去り、下剋上の世になったことを象徴するチームのひとつ、チャンギブンブン丸。その証拠に、初戦でなんとABUSAN-Aを接戦の末退けている。

なるほど、確かにやりにくい。相手投手は決して打ちにくいボールというわけではないのだが、そういうボールに対して余計な力が入り、打ち損じてしまう。そういう場面が目立ち、なかなか思うように点を取ることができない。いい当たりを飛ばしても相手の守備の好捕(しかも女性)により、相手を勢いづけてしまうおそれもあった。

相手が守備で魅せるならこちらも守備で魅せなければなるまい。あわやホームランかもしくは長打は避けられない大飛球をライトの原川さんが樹木に囲まれながらも好捕するというビッグプレーが飛び出し、ようやくチームに流れが来た。これまでのような大量得点とはいかなかったが、大塩さんのホームランで王手。

決勝に駒を進める。

決勝 vs Never Mind Riders TG 8-2 ○

優勝するためにはどんなに避けようと避けられない相手、NMR。今大会でシンガポールを去るメンバーがいるようでNMRのこの大会にかける情熱というものが伝わってくる。それがどんなに手ごわいものかは百も承知。

だがあえて言わせてもらうと、そんなことは関係ない。我々もこれまでABUSANの屋台骨を支えてくれた丹羽さんというスタープレイヤー最後の日本人会大会なのだ。相手が情熱を全面に押し出す『動』スタイルなら、我々は静かに燃える『静』スタイルで臨むまで。

初回の攻防は双方零点で息を呑む展開に。続く2回の攻撃は何とか小刻みに2点を先制することができた。相手の凄まじい攻撃を何とか耐え抜き、追いつかれることなく3回へ突入する。相手の情炎にのまれることなく、少しずつではあるが点差を広げていく。

そんな中、悦子さんの2塁打でさらに勢いが増す。しかし続く前の打席で3塁打を放っている8番武藤さんは歩かされ、満塁策。9番に座るは、この日出塁率は8割だが全く当たりの出ていない主将・古関。確かにこれ以上点を与えられない状況で安全策をとるのはある意味定石どおり。私が相手でもそうするかもしれない。しかし、こうもはっきりと安全策をとられたままで相手の軍門に下ってしまっては眠れない夜が何日も続いてしまう。沸々と湧き上がる闘志とベンチからの声援をバットに乗せ、振りぬいた打球は三遊間を鋭く切り裂き、2点タイムリー2塁打。遅まきながらようやくチームに貢献できた。もし仮にこの打席、ホームランを放つことができたのなら 私はこの動画のようになっていたであろう。


チームのボルテージは再び最高潮に達し、再び満塁となったところで山口さんが再び長打で2点タイムリーを放つ。一挙に5点を加点するビッグイニングとなった。
続く相手の攻撃では2点を献上してしまうが、投手・武藤さんに焦りは全くなかった。相手の攻撃の芽をしっかりと摘み取る。流れを完全に掌握した状況で最後に大塩さんが見たことのないような飛距離のホームランを放つ。最終回も武藤さんがきっちりと締め、2大会連続で頂点に上り詰めることができた。

不動のエース・武藤さん、二大巨砲の丹羽さん・大塩さん(この日計8本のホームラン)の力なくしてはこの優勝はありえなかったのはもちろんではあるが、チーム全員の活躍が光ってこその今回の優勝である。チームがひとつに結束できたことは言うまでもない。それに加え、個々人が様々な思いを抱えながら今大会に臨み、個々人が様々な思いを経験できたのではないだろうか。決して横並びになる必要はないが、その経験や思いをチームで共有したり理解することでさらにチームとして一回り・二回り強く・大きくなれるのではないだろうか。そうして強く・大きくなったチームの中で、また個々のメンバーがそれぞれの新しい経験を重ねることができれば、これ以上のことはない。


#35 古関俊也

3 comment:

BIGHEAD さんのコメント...

最も難しいのは勝つことよりも勝ち続ける事であるが今のあぶさんには全く当てはまらない。それは俺が小学生の頃、一人だけチームの色と違う大人用のヘルメットをかぶっていたと言う事にもつながっていくと思う。キャプテンマンセーは前回キャプテン時もそうであったがその辛気臭さと反比例するように燦然と輝く結果を残している。

俺たちの聖地、言わば新日本プロレスの蔵前国技館的な場所であるアヤラジャでの試合がもしかしたらラストかもしれないという状況下、メモリアルな軌跡を残してくれた。

ただあぶは勝つだけでは無くてもっと大きなインパクトをSINGAPOREソフトボール界に与えてほしい。最強であり最高であるあぶさん

先日東京で第一回SINGAPOREソフトボール界同窓会を開催したが赤間元運動部理事を中心にしたその会は大盛況であった。俺が思うに今やっている連中、他のチームも含めてSINGAPOREを去った時にずっとつながっていくような関係を今、構築できているか?
外から見ていてかなり怪しい。
ホスピスで亡くなる人が最後にやりたいことは?と聞かれて殆どの人が妻、旦那にありがとうと言いたかったと言う。今いる人に今ある状況に感謝しなければほんまに後悔するで。思っていても言葉にだし行動しなければ何もしてないのと外から見れば何も変わらない。

U1はじめ一生懸命あぶに携わっている皆
いつも有難う御座います。

またOBは現役がきちんとしていてのOBでありそういう意味でもこういうHPに対して(俺も含めてだが)現役とOBをつなぐ意味でもコメントしてあげてください。

匿名 さんのコメント...

優勝おめでとうございます。相変わらずの強さで他を寄付けない常勝あぶさん健在でOBながら誇りに思います。また過去に無い文才ありの総評、とても楽しく読ませてもらってます。アヤラジャで今後試合が出来なくなるとの情報頂きましたが、新球場でも引き続きぶっちぎりの強さを見せてください。Choさん寂しがるでしょうね。。
さて、Bigheadさんのコメントを見て思いました。あぶさんのつながりは非常に強くとても良いものであり、私もつい最近実感しました。現在アメリカにおりますが、会社で困った事があり、頭に浮かんだみーやんに相談(メール)したところ約37分後くらいに電話がかかり助言いただきました。それが私としては大きな安心材料となり、実際の問題も収束に向かっております。感動しました。何か言葉では言い表せない何かがありました。あぶさんを通して知り合い、同時期にかぶって無くてもかつての古い友達のように頼れる、遊べるというのはあぶさんならでは。本当にあぶさんの一員でよかった。
7th@TEXAS

匿名 さんのコメント...

古関さんありがとうございます。
特にコメント等ないですが、けっこうみんな楽しみにしています。私もそんな一人です。
またいい結果を出しましょう。
それでいつもの味のある文体、宜しくお願いします。

今回も最高でしたね。
キャプテンお疲れ様でした。

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