11月4日日本人大会 ABUSAN1 総評

1回戦 vs オヤッチーズ 23-0 ○
初回から信頼をおく1,2,3番の原川・岡・阿部の打線が機能し一気に6点をあげる。
投げては先発の野崎が相手の攻撃を僅か3球で終わらせるなど、初戦から勢いをつけていくというコンセプトのもと、初戦を飾ることができた。

2回戦 vs NYK Brewers 9-3 ○
続く2回戦は初戦・次戦と2桁で相手を圧倒してきたNYK Brewers。
先発・香川は初回の相手の攻撃をきっちり零点でしめる。2回戦も上位打線がやはり機能する。
1~4番で1点を先制し、続く5番の山口(章)のパトリオットミサイルのような弾丸2ランホームランで加点。
更に2死からも先週の練習では蚊トンボさえも落とせないような打球を放っていた主将・古関の3塁打で加点し、
この回一挙7点。最終回は少しバタついた感もあったが(これは主将のミス。反省)、9-3で準々決勝に駒を進めることとなった。

準々決勝 vs ジャングルベアーズ(プー) 2-1 ○
準々決勝の相手は大方の予想通り、ジャングルベアーズ(プー)。
ここ数回の大会でABUSAN1はこのジャングルベアーズに悉く辛酸を舐めさせられてきた。
相性がよくないのか、相手のペースに翻弄され自分たちのプレーができない試合がほとんどで、
いつしか苦手意識を抱くようになっていた。今回、組み合わせが決まった時点で現状を打破すべく
『熊の壁を越える』を裏コンセプトとして、決起集会や最後の練習に取り組んだ。
初回はエラー絡みから相手に1点を献上してしまうが、先発・香川が追加点を取られそうな展開から何とか最小失点に抑える。
続く我々の攻撃は鋭くヒット性の当たりを放つも相手の好守に阻まれ3者凡退。
その後は我々の守備陣も奮起し、相手に攻め込まれることないが、こちらもランナーを出すも決め手となる1打が出ずに0-1の膠着状態の試合は続いていく。
残り時間も少なくなり、ここで点を取れなければ負けてしまう雰囲気が漂う中、2死ランナー無しまで追い詰められてしまう。
しかし誰が予想したであろう、これ以上ない筋書きのドラマがそこにはあった。
負けている状況で2死ランナー無しの時、常人ならば必要以上に力が入り、振り回して凡打に終わってしまいそうなものであるが、
幾多の修羅場をくぐり抜けてきた6番・橋本は冷静に球を見極め四球を選ぶ。続く打者は今大会を通して7番に座る後藤瑠美。
定石通り、相手守備陣は対女性用の前進シフトを敷く。
だが、今大会あえて9番ではなく7番に置いた彼女を見くびってもらっては困る。
彼女が振りぬいたバットに弾かれたボールは前進守備のレフトの頭上を軽々と越える軌跡を描き、
1塁ランナーの橋本は一気にダイヤモンドを駆け抜け、本塁に生還する。2死からの起死回生の同点タイムリー2塁打。
1人目のヒロインが誕生した瞬間である。続く8番バッター山口(一)も鋭い打球を外野に放ち、2死1塁3塁。
ここで迎える打者は9番・主将古関。ABUSANのメンバーが創り上げたこの状況で打たなければ、主将失格、
男性のシンボルをそぎ落とす覚悟でバッターボックスに立つ。仲間の声援・激励に押され、振りぬいた打球はショート頭上を鋭く切り裂くレフト前ヒットとなり、同点タイムリーを放った3塁ランナー・後藤が生還し、2-1と試合をひっくり返す。

ドラマはこれだけでは終わらなかった。

最終回、追いつこうとする相手先頭バッターを2塁打で出塁させてしまう。続くバッターは打ち取ることに成功し、1死2塁。
相手はクリーンナップ。1塁ゴロに打ち取った当たりは一塁手橋本のグラブをわずかに弾き、少しの隙が生まれる。
すぐにボールを拾い、1塁キャンバスを踏むことで打者を打ち取るが、その一瞬生まれた隙をつき、2塁ランナーは
(捕手が女性ということもあってか)3塁を回る。
しかし、今大会でシンガポールを後にする、前日も個別練習を行い、並々ならぬ決意で試合に臨んでいる西田を見くびってもらっては困る。
1塁の橋本は西田が守る本塁へこれ以上ない送球をする。全員の『タッチしろ!!』という声を受け、捕手・西田は球をそらすことなくしっかり捕球。
そのまま流れるように体を反転させ、スライディングでホームを狙う相手走者に対し、両手でタッチ。主審が示した右手は強く握られており、雲がかかる空を向いていた。
ここに2人目のヒロインが誕生した。
おそらく、この場面だけを切り取って深夜にテレビで放送しても瞬間最高視聴率20%は軽く越えるであろうドラマがここにあった。
恥ずかしながら、もともと貯水量が魚をかたどった醤油容れの赤いキャップしかないほどの主将の涙腺という名のダムは簡単に決壊してしまった。『まだ早い』というOBの方々の言葉はごもっともではあったが、耐えることができなかった。
こんなにも素晴らしいメンバー達とこれ以上ない劇的な幕切れで、難敵に勝つことができて涙を流さない主将がいるだろうか。

準決勝 vs ABUSAN A 2-7 ●
いわずもがな、同門対決。直前の紅白戦は1勝1敗1分の結果で終わっており、決して敗色濃厚という図式は成り立たない。
ましてや、準々決勝で難敵・ジャングルベアーズに拍手喝采ものの勝ち方で勢いが我々にはあった。
勢いそのままに初回に1点先制を許すも、今大会幾度となく機能している上位打線が好機を作り、4番・香川が高めのボールを居あい抜きの如くバットで叩いてレフト線へ鋭い打球を放ち、一気に2人のランナーが還り2-1と逆転に成功する。
その後も林賢太郎氏の激励にチーム全員が後押しされながら、2-1のまま試合は進む。このまま何とか逃げ切りたい、
そういう守りの姿勢が見えてしまったのか、徐々に我々の守備に綻びが見え始める。狂った歯車のまま勝てるようなABUSAN Aではない。
エラーが重なり、ここぞとばかりに攻めてくるABUSAN A。
この日、3試合で失点僅か1点の香川でさえも7点を取られてしまう。何とか投手を援護したいところであるが、打線は1回以降快音が少なくなり、結局2-7で力の差を感じる敗戦となってしまった。
惜しくも準決勝敗退となってしまったが、近年のABUSAN 1としては最高の成績の3位入賞。
これまでメダルに縁のなかったメンバーにもようやくひとつの誇るべき結果が出せたのではないだろうか。
今大会はOB+新戦力で挑んだABUSAN 金が強豪・NMR相手に初戦を6-4でものにすることで(詳細はABUSAN 金の総評参照。鳥肌もの)刺激を受け、準決勝ではABUSAN Aと同門対決を戦い、ABUSAN 1として3位入賞を果たすという非常に中身の濃い大会となった。
OBの方々の前で、我ながら素晴らしい試合をお見せすることができ、今大会で帰国する西田にチームとして最高の贈り物ができたのではないかと思う。

#35 古関俊也


5 comment:

匿名 さんのコメント...

総評を読みながら鳥肌!
次のプレーがどうなったのかドキドキしながら読みました。
るみちゃん、西田さん、女性陣の活躍は特に嬉しいですね!!
あぶ1の記念すべき大会になりましたね!!
あぶさん最高☆

#73

匿名 さんのコメント...

手に汗握りながら各チームの総評読み終えました。特に、今大会が最後の西田さんのプレーシーンには総評読みながら思わず力が入りました。

西田さんお疲れ様でした。大阪支部皆でお待ちしています。

9代目

匿名 さんのコメント...

ななみ、やまだ
是非写真見てみてなー。
西田がタッチして試合終了直後の写真があるから。
U1

匿名 さんのコメント...

何度読み返しても、西田さんのタッチするシーンが目に浮かびます。本当に素晴らしい試合でしたね!ありがとうございました!!#95

匿名 さんのコメント...

にっしゃん、長い間お疲れ様でした。7年間、あぶさんを続けてきてほんと良かったね。あぶ1の試合と時間が重なってたのであまり見ることが出来ませんでしたが、盛り上がりは伝わってきました。今まで、あぶさんに長年貢献してきた人が帰国するとき、最後の大会では必ずと言って良い程名プレーを残していきました。にっしゃんの取ったアウトとこの大会のあぶ1の戦いっぷりはこれからずっと語り継がれていくんやと思います。

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