201333日、ABUSANの新たな歴史の1ページにABUSAN-1の名が刻まれた。少々長文になるが最後までお付き合い願いたい。これで貴方も歴史の生き証人である。

初戦 vs オヤッチーズ 12-1 ○

前回大会で20点以上の差をつけて完勝した相手だけに躓くわけにはいかない。そういった慢心があったのかもしれない。初回は無死12塁の好機から僅か1点しかとることができず、決して穏やかではない雰囲気が暖簾の間から顔を覗かせる。その後、二桁得点までたどり着くが、試合後の後味はあまりいいものではなかった。このままでは次戦でやられてしまうと危機感を感じた主将・古関とエース・香川は試合後チーム全員に警鐘を鳴らす。

3回戦 vs FSBC E&S 8-2 ○

初戦でいかにもちょっとおちゃらけたクラスの人気者の中学生というノリで場を沸かせていた(筆者にも身に覚えがあるが)BCS~The Final~という中学生チームを生徒指導の教師を彷彿とさせる落ち着きっぷりで制したFSBC E&S戦。このチームの打撃力はいわずもがな、無慈悲な制裁そのものである。そんなロケット砲も何重にも装備したFSBCをエース・香川の巧みなピッチングで初回零点に抑えたことで、相手に焦りを、自分たちに余裕を与えることになった。初回裏の攻撃、1番・原川がきっちりと役割をこなし出塁。続く2番・岡の安打から相手がミスを連発し、2人が一気にホームイン。さらにたたみかけるように3番・古関が弾き返した打球は相手のロケット砲の性能の数倍も劣る豆鉄砲であったが、センター前に音を立てずそこはかとなくと落ちる。
ここから後続が続き、相手のお株を奪う攻勢でこの回15点を先制する。しかし相手はFSBCこのままでは終わるはずがない。きっちりとボールを捉え、ヒット性のあたりを遠慮なく外野に飛ばす。まさに無慈悲な制裁。ただこの日のABUSAN-1の外野守備陣の集中力は研ぎ澄まされており、長打を許さない。そんな攻防を続け、最終的には8-2で豪打・FSBC8-2で打ち勝つことができた。バットだけでなく肩にまで高性能遠距離迫撃砲を装備しているFSBC外野守備陣から8点を奪えたということはそれだけ、今日のABUSAN-1の打線が繋がっていたということを示すものである。

準々決勝 vs NMR-RYO-G 7-0 ○

前大会、我々が苦戦の末勝利したジャングル・ベアーズ(プー)3回戦で快勝したNMR-RYO-G戦。誰もが認める最も練習をしているチームであり、苦戦は必至であった。2回終了時点で0-0の膠着状態が続く。こういう緊張感で溢れた展開の中でも、今日のABUSAN-1メンバーは非常に落ち着いていた。ほぼ全員がきっちりボールを見極め、四球を選ぶ。その一方で甘い球は見逃さず、バットを振りぬく。こういった積み重ねがやがて実を結ぶことになる。記憶が定かではないが、出塁した全員が漏れることなく、ホームに帰ってくることができ、相手につけいる隙を与えることなく、強豪相手に7-0で快勝することができた。中でも圧巻だったのはエース・香川が相手の34番を手玉にとり、全くバッティングらしいバッティングをさせなかったことである。彼曰く、この重力を最大限に利用した高度から落ちるボールは『東京スカイツリーボール』というらしいが、このネーミングセンスは○ン肉マンを愛読していなければ培うことのできるものではなく、そのうち四次元殺法でも繰り出すのではないかと個人的に楽しみにしている。ただ香川の出身地は兵庫県であり、なぜ神戸ポートタワーボールではなかったのか、神戸にゆかりのある筆者からすると、いささか残念でもある。
この試合で飛び出した個人的に好きなプレーについて、2,3触れておきたい。この試合の勝利に直接結びついたかどうかわからないが、ライトに途中から入った成長株・是松のプレーである。零点に抑えたといっても、相手は強豪であり、ヒット性の当たりをライトへ打つこともしばしばであった。しかし彼は臆することなく、ライトゴロを狙うべく捕球後ファーストへ素早く送球するプレーを2回披露した。結果は2回ともセーフであったが、双方とも際どいタイミングであり、彼の成長が垣間見えたプレーであった。この非常に積極的なプレーに触発されたように、筆者も出塁した時、2塁からワンヒットで3塁キャンバスを蹴り、一気にホームへスライディングで生還を試みた。クロスプレーの結果はアウトになってしまったが、月刊ソフトボールの表紙を飾りそうなそのクロスプレーは、今大会を通じてABUSAN-1の戦い方のひとつである積極性を暗示するものである。また、チーム最年少・朝井もきちんと自分の役割をこなしていた。打球をあげることなくしっかりと転がしては相手のエラーを誘い、球を見極め四球を選ぶこともしばしばあった。彼女が出塁時、応援に駆けつけてくれた郁子姉さんの『ちーちゃん、ホームに帰っておいで!!』という言いつけをしっかりと守り、途中で封殺されることなく見事にホームに生還する。筆者にも14歳の時、これぐらい素直なところがあれば高校受験で失敗しなかったのではないかと思うのはまた別の話。
ひとつひとつは大きなプレーではないかもしれないが、なにか光るものを数多く感じた試合がこの準々決勝である。

あぶ1準決勝へとつづく。。。。

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