決勝 vs NMR-TG 8-3 ○  

準々決勝でABUSAN-Aを撃破したNMR-TG戦。そのABUSAN-Aは初戦でNMR-KEN-Gに15-0で完勝しており、我々ABUSAN-1は準々決勝でNMR-RYO-Gを7-0で退けている。そのABUSAN-1とNMR-TGが決勝で戦うことになった。その様相はさながら源平合戦を呈しており、ここに現代版・壇ノ浦の戦いの火蓋が切って落とされた(というのは絶賛・中二病発症中であるが、気にせず読み続けていただきたい)。

相手は決勝に上がってくる間にTowersに打ち勝ち、ABUSAN-Aのエース・武藤さんからもホームランを打つなど、ビルを解体する鉄球のような剛の打線。かたや、我々はホームラン零本ながらも、繋ぎに繋いで日本最後の清流・四万十川のように流れる柔の打線。そのコントラストは明瞭であり、源氏vs平氏の構図でありながら、その一方で角度を変えると”ラオウvsトキ”という別の構図にもなっていることに往年の○斗の拳ファンもたまらないであろう。

この重量打線を完璧に抑えることは香川でも難しく、今大会初めて相手に1点の先制点を与えてしまう。これまでなら相手に先制された時点で、テストの日にリコーダー(ソプラノ)を家に忘れてきてしまった小学生のようにうろたえるABUSAN-1であったが、この日は違った。むしろ、この打線を1点で抑えたことに自信を漲らせたようにさえ感じた。浮き足立つことなく1,2番はこれまで通り、自身の役割こなし、そこから怒涛の連打でこの回一挙4点を加え、あっさり逆転する。続く2回に1点差まで詰め寄られるが、マウンド上の香川を始め、全メンバーが慌てることはなかった。相手チームの応援の声に萎縮してしてしまいそうなところだが、なぜかこの日は全く気にならなかった。

4-3の1点リードで迎えた3回裏の攻撃。3回の相手の攻撃を見事3者凡退に抑えたことで、更に勢いづいたのか、この回も四球に連打連打でまたしても4点加点する。一体いつこんな戦いっぷりができるようになったのか不思議に思うかもしれないが、これまで悔しい思いをしながらも、ABUSAN-Aの背中を追いかけ、前ABUSAN-1キャプテン・山田さんやこれまで在籍されていたOBのメンバーの方々から引き継いだ種がようやく芽を出し、花が乱れ咲いたのである。

最終局面に行く前に、そろそろABUSAN-1のムードメーカーについても話しておかなければなるまい(いつ出てくるんだと苛立っている読者も多いことだろう)。前大会・準々決勝で起死回生の同点打を放ち、逆転のホームを踏み一躍ヒロインとなった二塁手・後藤であるが、前大会での活躍が仇となったのか、いい当たりを放ってもことごとく相手守備に阻まれることが多く、自ら心臓に毛が生えていると豪語しているわりには、今大会では心臓を地面に落としたら3秒ルールさえも意味がないくらいそれはもう、ヘコんでいた。しかし、神はそんな彼女を見捨ててはいなかった。相手攻撃陣の狙いは比較的守備が手薄(と睨んでいた)の1,2塁間を抜く打球を打つことであったが、そのほとんどの打球の前に二塁手・後藤が立ち塞がっていた。3回の相手の攻撃の芽を全て彼女のグローブが摘みとり、いよいよ優勝が現実味を帯びてくる。

8-3のまま、最終回。1死から相手女性打者に鋭く3塁線を切り裂かれ、2塁まで進塁を許す。続く女性打者のファーストゴロの間に3塁まで進塁されるが、2死まで詰め寄る。相手打者は1番に戻る。香川の右手から放たれた初球の東京スカイツリーボールを相手打者は鋭く叩き、バウンドの高い打球に香川がジャンプで飛びつき、ファーストへ送る。スリーアウト。この瞬間、ABUSANは歓喜の渦に包まれ、ABUSAN-1の優勝が決まった。


5試合平均9.6得点1.8失点。これ以上の数字があるだろうか。

しかも打つことを前提にした日本人大会である。これはまさに5試合を一人で投げぬいた香川なくしては成し遂げられないことで、それはもうメンバー全員がわかっていることである。これに加え、各メンバーがそれぞれのやるべきことを遂行し、チーム全体で意志を統一した結果、うまれたものである。今回怪我で思うような出場ができなかった健が常にベンチから声を出し、ベンチに帰るときに迎えてくれる姿に背中を押されたメンバーがほとんど、いや、全員であろう。腰痛を抱えながら、土曜日練習まで付き合ってくれた浦上さんに何とかいい報告をと、試合に臨んだメンバーも数多くいるだろう。準々決勝で惜しくも散ってしまったABUSAN-Aのメンバーの声援・サポートがなければ、準決勝すら勝ちあがることができなかったであろう。また、前々回、前回大会はOBの方々と大会に出場し、言葉だけではなく、一緒にプレーすることで学んだ・感じ取ったものがなければ、ここにたどり着くことはできなかっただろう。間違いなく今回の大会はあぶさんに関わる全員の力で勝ち取った栄冠であると信じてやまない。こんな素晴らしいチームに副主将と
して携わっていけることがどれだけ幸せなのだろうか。筆者の拙い言葉ではこの喜びや感動を表しても1/3も伝わらないかもしれないが、このチームにいて、本当によかったと自信をもって言える。

ABUSAN-1を代表して感謝します。ありがとうございました。

#35古関俊也

2 comment:

匿名 さんのコメント...

あぶ一遅ればせながら優勝おめでとう!スローピッチは昨年から着実に勝ち上がり常に上位に進出してて、特にあぶA と1、3 finish した時の準決勝で本当に強いチームになったなと感じてました。本当にチームワークの賜物だね。この優勝は一生ものだと思う。大事にしまっておいてください。この勢いでファーストピッチも頑張ってください。しかし、シュンペイは本当に文才があるね。あぶさんというタイトルで本を出してほしいね。よろしく。かげ

匿名 さんのコメント...

蔭山さん

お祝いの言葉ありがとうございます。今回の優勝で気が抜けることなく、大会後の練習からみんな頑張っています。

次は何とかファストピッチでもいい位置にいきたいですね。

蔭山さんのほかにもご要望があれば書きましょうかね。

ではでは。

#35古関 俊也

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